マインドフルネスって聞いたことありますか?
10年以上前から研修会などが開かれるようになり、ここ数年、カウンセリングの中で、「マインドフルネスの本を買ってやってみてるんです」とか「私の症状にもマインドフルネスって有効らしいってネットで見たんですけど」と、相談者から話されることが増えたように感じています。
近年ではカウンセリングや心理療法の枠を超えて、一般的なワークショップや、幼稚園でマインドフルネスの時間を取っているというニュースも目にするようになりました。先ほど某検索サイトで「マインドフルネス」と調べてみたところ、動画だけで約19万本ありました。昔からカウンセリングの場でよく使われる「自律訓練法」が、同じ調べ方で動画数約7万本ということを考えると、なかなかのヒットコンテンツではないかと思います。しかも、実践することで集中力や記憶力の向上、よく眠れるようになる、ストレスが減る等々の効果が書いてあるものですから、なんだか良さそうなものではないかという感じがしてきますよね。
そんなマインドフルネスですが、どんなものなのか一般に説明がされているサイトをいくつか読むと、 で、マインドフルネスって結局なに? 遅くなってすみません。これが今回のコラムのテーマです。 日本では瞑想や禅など類似のワードがイメージしやすいと思います。ただし、心が乱れているとみるや和尚さんから肩をパシッとたたかれる坐禅と見た目は少し似ていますが、実は違うのです。マインドフルネスを説明するとしたら「我に返る感覚を練習で身に着けましょう」というのが近いのではないかと思います。
よく、「ストレスから解放されて無心になりましょう」と、自己啓発やリラクゼーション法で言われていますが、マインドフルネスでは「無心」を求めません。 人は考えと闘ってもあまり勝てません。マインドフルネスでは、人は自然体でいると様々な考えが勝手に浮かんでくるものだ、ということを前提に置き、それはそれと受け入れていくものなのです。 試しに目を閉じ、1分そのまま座ってみてください。 恐らく最初の30秒くらいは呼吸を整えたり、姿勢を直したり、目を閉じて暗くなった視界に慣れるための時間等であることでしょう。やがて、そうした準備も終わり、簡単にいうと暇になります。暇な時って、さまざまな考え、いわゆる雑念が浮かんできませんか。 次から次へと出てくる雑念が何気ない内容なら良いですが、ネガティブに考える癖を持っている人、ストレスが溜まっている人は、自分にとってダメージになる考えにどんどんとハマってしまうことがあります。 とりわけネガティブな考えは煙のようにモクモクと広がりやすく、頭の中がこの煙でいっぱいになると、いわゆる考えにとらわれている状態となります。そのような状態の時にネガティブな考えは考えとして棚上げし、「我に返る」ことができると、頭の中をいっぱいにしていたネガティブな考え以外にも注意が向き、少し心に余裕ができます。
視野狭窄や余裕がなくなった状態は、不安で焦って、怖くて、怒って、自分がコントロールできずに感情に乗っ取られてしまっている状態といえます。
そのような時は、気分が落ち込んだり、我を忘れて自暴自棄になってしまうかもしれません。本当はそうしたくないのに、大切な人を傷つけてしまうかもしれません。
先述しましたように「我に返る」ことができると、自分や大切な人・ものを守る心の余裕を作ることができます。通常、精神的な不調が強ければ強いほど、この余裕を作ることは難しくなります。ネガティブな考えにとらわれずに自己コントロール感を自分の元に置いておけることで、心身の安定や、落ち着きが得られるようになります。
つまり、自分の人生の舵を自分でコントロールできるようになるためのひとつの方法がマインドフルネスなのです。すでにご存じの方も、一度やったけどあまりハマらなかったという人も、興味が湧くようでしたら、マインドフルネスを使って自分の人生を自分の元に戻してみませんか。
寝る前の5分だけでもやってみると、寝付きや寝起きが少し変わるかもしれません。マインドフルネスを実施する際、参考になる動画もサイトにあります。もし動画をご覧になる場合は、10~15分程度であまり解説が多くないものの方が良いと思います。よろしければそのようなツールも用いて試してみてください。
「考えや先入観にとらわれることなく、“いま、ここ”に焦点を向け、あるがままに現実を知覚すること」
といったことが書かれています。これだけ読むと僕も思います。
「無心になりなさい」と言われると、浮かんでくる様々な考え自体を「気合でなくせという感じかな?」と想像してしまいますよね。また「浮かんでくる考えを何か他のもので打ち消そうとしている」と言われる相談者もよくいらっしゃいます。
こうしたことは、一瞬はできたとしても、ネガティブな考えが大きくなっていく場合、なかなか「我に返る」ことは難しくなります。そのため、心身に癖づけることや、頭の片隅にでもそのアイデアが残せるように練習することが大切なのです。