今回は、子どもを「認める・ほめる」ということについてお話してみたいと思います。
私は以前、子育てに難しさを感じている親御さんのお話を聴かせていただく機会がよくあり、その方達にペアレント・トレーニングのプログラムを行わせていただいていました。
ペアレント・トレーニングとは、簡単にいうと、保護者の方が子どもとの良い関わり方を学んで、子どもと良い関係を作り、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラムです。いろいろな種類のペアレント・トレーニングがあり、全てを知っているわけではないのですが、多くのプログラムで子どもを「認める・ほめる」ことを重要視していると思います。
つまり、子どもとの良い関わり、良い関係を築くには、「認める・ほめる」ということが大切!ということですね。
ただ、プログラムの中で、保護者の方から、「子どもをほめたいけど、どうやってほめてよいか分かりません。」「うちの子はほめるところがありません。」また、「正直、ほめたい気もちにもならないです。」という言葉がよく聞かれます。言いにくそうに吐露される方もいれば、どうして良いか途方にくれた様子でお話して下さる方もいらっしゃいました。このように悩まれている方は少なくないと思います。
では、子どもをどのように「認める・ほめる」と効果的なのか、ペアレント・トレーニングでよく言われている方法についてお伝えしたいと思います。
そして、いつもプログラムを受けられる方にお願いしているのは、学んだ方法をすぐに実践してみてほしいこと、また、子どもより先にまず自分自身に行ってみてほしいとお伝えしています。それは、自分と近しい人への関わり程、自分に対する扱い方と似てくることが多いからです。心理学では、投影と言ったりします(※投影・・自分の心の中にある感情や資質や欲望を他者がもっているものと認知する現象)。たとえば、親御さん自身が、ご自分のことを“私って人と比べてダメだなぁ”と感じていると、お子さんに対しても“この子って他の子と比べてダメな子だなぁ”と感じやすいように思います。そのような状態の時に、いくら子どもをほめようと思っても、ほめたい気持ちにはならないし、ほめるところがないと感じても無理もないことなのです。そのため、お子さんを認めたい・ほめたいと思ったときは、まず先に親御さんが自分自身に「認める・ほめる」を行ってみて下さいとお伝えしています。
それでは、効果的な子どものほめ方ですが、以下に代表的なものを5つ挙げさせていただきます。
最後に、ある詩を紹介したいと思います。
詠み人知らずの詩で、ニュージーランドの子育て支援施設の壁に貼ってあったものとのことです。ご存じの方もいるかもしれませんが、子育て中のお母さんが自分を「認める・ほめる」のやり方が詰まっているように思います。何より、すごく温かい気持ちになる詩です。
『今日』
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつはだんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが 床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだと思う
人に見られたら なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしていたの?とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、
それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日 何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことを していたんだって
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ