コラム

自信をつけるということ

2017年10月5日
倉田

「自信をつけましょう」「自信にしていきましょう」、このようなお話を教育・育児相談などで私はお伝えすることがあります。

お伝えした保護者の方からも「そうですね!」と快くお返事を頂きますが、そもそもそれほどに簡単なことなら、皆さんが“自信がないことで悩む”ということはないはずなのではないでしょうか?

そこで、自信とは何なのか?自信はどうやってつければ良いものなのか?といったことを改めて振り返ってみたいと思います。

自信とは、心理学では“自尊感情”“自己効力感”“自己肯定感”などの考えを混ぜ合わせたものだと考えられています。つまり、①自分の良いところも悪いところも認められる②自分はその事柄を成し遂げる力があると信じることができる③自分に対して肯定的な評価ができる、という3点がそろうことが心理学でいうところの自信だと言われています。

自信があることで、勉強や仕事に意欲が持てたり、コミュニケーションを積極的にもち、円滑に関係作りができたり、落ち込みやふさぎ込みなどの感情になりにくいと考えられています。

このように、自信は重要なものだからこそ、相談をお受けする私も、相談にお見えの方ご自身も「自信はつけておきたい」「自信をつけてあげたい」と考えるのではないかと思うのです。

自信をつけるために必要なことはいくつかあります。その中でも特に必要なことは、“人から認めてもらうこと”です。A.H.マズローという心理学者の理論で、“欲求階層説”というものがあります。簡単に説明しますと、すべてを失った状態からは、①何よりもご飯が食べられるようになることが先決で、②それが満たされたら屋根のある家に住みたい、③それが満たされたら家族や仲間が欲しい、④それが満たされたら自分を認められるようになりたい、そうして最後に⑤自分自身の目標を達成したい、と考えるものだろう、とマズローが考えたものです。

自信は④の認められる体験を増やすことで得ていくものだと考えられます。そのためには、上手に認めること、上手に認められることが大切なのではないかと私は思います。
・テストで良い点を取った→「すごいね!」
・仕事で契約を取ってきた→「すごいね!」
上記の例はどちらも認めてもらっていること、認められていることかもしれません。

では…、テストの点があまり良くなかったら?契約が取れなかったら?どちらも認めることができなくなってしまいますね。よく言う“成果主義”ということかなと思います。

しかし、仮に成果を出すことができなかったとしても、そこには、テストを受けるために、契約を取るために、と“成果を出すために頑張ろうとした”、という意欲があったと思います。“頑張った”という過程があったと思うのです。

頑張ろうと思えた背景には、目標を見つけられたことや、目的を見出そうとした思いがあったかもしれません。つらそうなことも、もしかしたら頑張ることのできる楽しい面を見つけていたかもしれません。

この背景・過程こそ本当はもっとすごいことなのではないかと思うのです。  成果がないとほめづらかったり、結果がないとほめられても素直に喜べなかったりしてしまうことは多いかもしれません。ですが、本当は成果や結果の前に“頑張っているのだ”と理解できることで、ほめる人もほめられる人も自信を持って生きていくことができ、みなさんを少し楽にしてくれるのではないかと思います。