では、気分、感情や身体的感覚を変化させるとはどういうことなのでしょう。
頭の中で、「今は楽しいはず」と思っても、実際に楽しい気分になれたり身体が心地よいと感じたりすることは難しいでしょう。そのためには、本当に身体が心地よい、ホッと出来ているという感覚を自覚出来ることが重要だと思います。そして、それを自覚するためには、今の自分の身体がどういった状態にあるのかを理解することが必要だと思います。
今の自分の身体の状態はどうでしょう。少し時間をとって目を向けてみると、それまで気付かなかったものに気付くかもしれません。
呼吸が肺に入っていってるな、少し浅い感じがするかもしれないしゆっくり奥まで入っていく感覚が得られるかもしれない。
心臓が脈を打つのが聞こえるな、少し速いと感じるかもしれないしゆっくりと感じるかもしれない。
手や足はどうかな、冷たいと感じるかもしれないし汗ばんでいるかもしれない、手は温かいのに足は冷たいと感じるかもしれない。
もしかしたら、どこかに不自然な力が入っていることに気付くかもしれない。
その後に、自分はどういうものに心地よさを感じるだろうか、と探求していってみるのはどうでしょう。
人はそれぞれ感情にも感覚にも心地よいと感じるもの、不快に感じるものがあり、人によってその感じ方は様々です。例えば、黒板を爪で引っ搔いた音に耳をふさぎたくなるほどの不快感を持つ人もいれば、別に良くもないけどそこまで嫌でもないと感じる人もいるでしょう。
皆さんは、どのようなことにどのような感じを受けるでしょうか、どんな色を見た時にどんな感じを、どんな匂いを感じた時にはどんな感じを、どんな触感のものに触れた時にはどんな感じを抱くでしょうか。それらに嫌悪感や不快感を受けない、心地よさや安心感、ホッとする感じを得るものがあるでしょうか。
どんなものに触れている時に自分の体がどんな反応をしているかを少し注意してみてみると、自分の心地よい感覚に辿り着けると思います。また、自分が思ってもみなかったものに対して不快な感覚を持っていたことなど、新たな気づきも出てくるかもしれません。
身体的感覚の中で良いもの、心地よいものという感覚が分かるようになってきて、そういう良い状態の時に思い返す過去は捉え方も少なからず変化があり、向き合いやすくなってくることがあるでしょう。勿論これらは簡単なことではないです。
時間をかけて少しずつにはなりますが、面接の中でそのような変化が得られるよう一緒に取り組んでいけたらいいなと思っております。
参考・引用文献
トラウマと記憶~脳・身体に刻まれた過去からの回復~ ピーター・A・ラヴィーン著