コラム

3分で分かる認知行動療法のさわり

2015年2月15日
臨床心理士 土井

最近はやりの認知行動療法というものをご存知でしょうか?といっても、ここ10年以上“最近はやりの”と言われているので、そろそろ最近じゃないかもしれませんね。

私がカウンセリングで初めてお会いする方にも認知行動療法を希望される方がいらっしゃいます。あくまで私の場合ですが、そうした希望を話していただいた方にも、まずはどういうことでお困りで、それはどんな経緯で、どんな状態になっていきたいのか等をうかがい、その上で私の方から認知行動療法の説明をさせていただいて、“あぁそれならばこの認知行動療法というやつが良さそうだね”とお互いが納得してからスタートする形をとらせていただいています。

その際にはこんな説明をします。

認知というと分かりにくいものですので、認知=考えと思ってください。考えと行動の幅を広げていくものが認知行動療法です。お悩みのことというのは十人十色ですよね。気分が落ち込む、人前に出ると汗が止まらない、不安で電車に乗れない、などなど様々ありますが、認知行動療法ではこうしたお困りのことや状況を『認知』『感情』『行動』『身体反応』の4つに分けて考えます。

例えば落ち込むと「自分なんかダメだ」という『認知(考え)』が浮かびます、「頭を抱えてその場でうずくまる」という『行動』をしました、「不安・悲しみ」などの『感情』が出てきました、「ガタガタ震えた」という『身体反応』が起こっていました。

『認知(考え)』は幅を広げる事ができるでしょうか?
例えば「自分なんかダメだ」と思っているあなたの大切な友人がいた場合、なんて声をかけてあげますか?その言葉を自分で自分にかけてあげられたら、「自分なんかダメだ」という気持ちが少し和らぐかもしれません。

さて、『感情』は意図して抑えることができるでしょうか?
今日1日ちょっとした不安も感じないでください、と言われても無理ですよね。感情は勝手に湧いてきてしまいます。

『行動』は幅を広げる事ができるでしょうか?
「自分なんかダメだ」という気持ちをうずくまって抱えずに誰かに気持ちを話せたとすれば、もしかすると少しだけ楽になれるかもしれません。

では、『身体反応』は意図して抑えることができるでしょうか?これは真冬の寒空に放り出されても震えないでください、と言われているようなものです。

つまり、『認知』『感情』『行動』『身体反応』の4つから出来事・状態を捉えた場合に、『認知』と『行動』の2つが今後受け取り方の幅を広げていくことができそうだ、ということで認知行動療法と名付けられています。

こうした考え方で行う方法がピッタリ合う方もいらっしゃいますし、それほど合わない方もいらっしゃいます。自分の悩みはどうなんだろう?とお感じになられたら、よろしければいっしょに考えましょう。