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2019年11月  高橋 

 「パンさえあれば、たいていの悲しみは堪えられる。」と言ったのは『ドン・キホーテ』の著者セルバンテスです。空腹でイライラした気持ちになったり、満腹で幸せな眠りに落ちたという経験は誰しもあるのではないでしょうか。当たり前のことですが、食事が私たちの心に与える影響は大きいと言われています。このコラムでは食事と心の関係について、近年注目されている「腸内フローラ」に焦点をあて、お話をしたいと思います。
 腸内フローラという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。フローラとは花畑の意味で、私たちの腸内にいる多種多様な細菌のことを花畑にたとえた言葉です。テレビや雑誌などで、この腸内フローラの改善が健康増進につながると取り上げられるようになりました。


 食べ物を消化する機能を持つ腸ですが、そもそも生物の器官としては脳よりも先に腸が備わったとされています。原始的な生物でもエネルギーを摂取して生きていけることを考えれば腑に落ちるのではないでしょうか。脳が体の各臓器や器官に対して情報を送っているというのはイメージしやすいと思いますが、それと同様に腸は脳からの情報を受け取るだけでなく、脳に対して情報を送っていることが知られています。このため、腸は「第二の脳」と呼ばれ、自律神経やサイトカイン(生体内の反応に関わる生理的な働きを持つ物質)を介して脳と相互に影響しあっています。そして近年の研究で、うつ病と腸内フローラに関係があるという報告がなされるようになりました。

 腸内細菌の違いが動物の行動様式に影響する可能性を示す興味深い報告があります。別々の環境で飼育した腸内細菌の種類や割合の異なるマウスに、ある種のストレスを与え、行動を観察すると結果に大きな違いを生むというのです。例えば、腸内を無菌状態にしたマウスにストレス負荷を与えると、ある種のホルモン分泌が上昇し、不安に関連する行動とされる多動が観察されます。この無菌の環境で飼育されたマウスに、ビオフェルミン🄬などで知られているビフィズス菌を腸に投与し腸内フローラを変化させると、多動等の不安を示す行動が減少することが報告されました。このことは腸内フローラがストレスに対する応答や耐性に関わっている可能性を示唆しています。

 腸内フローラを改善するには毎日の食生活が大切とされています。良い腸内フローラには腸内に多くの種類の菌が存在している多様性が求められます。そのためにはバランスのとれた食事をとり、特定の食材に偏った食事を避けるのが好ましいです。また理想的な腸内フローラを整えるには善玉菌を摂取するのが良いとされています。善玉菌を含むものをプロバイオティクスと呼び、善玉菌の栄養となるものをプレバイオティクスと呼びます。前者の例としては納豆等の発酵食品や整腸剤、後者の例としては食物繊維を多く含む野菜やオリゴ糖などが挙げられます。このような食生活を意識することで、腸内フローラのケアに配慮すれば心、身体、腸のよりよい循環を生み出せる可能性があります。

 セルバンテスはパンで悲しみを乗り越えられると言いましたが、もちろん、食生活だけで心の問題をすべて取り除けるわけではありません。バランスのとれた食生活は、いわば心を健康にするための第一歩なのです。どんなに規則正しい生活を送っていても、辛いことや悩みが尽きないのが人生です。そのような時こそ、ぜひ私共のオフィスへと足を運んでいただければ幸いです。

 <参考文献>
(1) Nishino R, Mikami K, Takahashi H, Tomonaga S, Furuse M, Hiramoto T, Aiba Y, Koga Y, Sudo N. Commensal microbiota modulate murine behaviors in a strictly contamination-free environment confirmed by culture-based methods. Neurogastroenterol Motil. 2013; 25: 521?528.
(2) Heijtz RD, Wang S, Anuar F, Qian Y, Björkholm B, Samuelsson A, Hibberd ML, Forssberg H, Pettersson S. Normal gut microbiota modulates brain development and behavior. Proc Natl Acad Sci U S A. 2011; 108: 3047?3052.
(3)須藤信行.腸内細菌とストレス応答・行動特性.Brain and Nerve. 2016; 68: 595?605.

 
 

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